「真昼の完全試合」(1996年)~竹江覺

【1996年冬】

トーキョー・ナンバーワン・ソウル・セット「真昼の完全試合」(エドヤ)は問題作だ。監督のタケイ・グッドマンは小沢健二の作品も手がけていて、アイデア豊富な演出で毎回ハラハラドキドキ楽しませてくれる。本作も型破りなカメラ・アングルや、歌と無関係な字幕処理など、見る者の視覚と聴覚を別々の角度から刺激する。

それはある種の不安を呼び起こすのだが、ビデオに身を浸していると次第に気持ちが落ち着いてくるから不思議だ。心地良いリズムと音の流れにのせて膨大な量の詩を朗読するトーキョー・ナンバーワン・ソウル・セットの音楽スタイルとタケイの手法の表面的な共通点を探すのは困難だが、彼らが深層で連帯していることを強く感じる。あたかも友人同士で撮影したホームビデオのようなタッチが浮かび上がらせるのは、このバンドの基調をなしている"無名の若者たち"の生活感だ。

「ザ・プラチナム・デイズ1」(ソニー)は1996年5月に解散するプリンセス・プリンセスのヒストリー・ビデオ第1弾。ライヴハウスから始まり、武道館、野外大会場へとライヴを足場にスケール・アップしていった日本唯一の女性バンドの歩みが収録されている。シングル・ヒットによって一気に昇りつめるタイプが多い現在のシーンにあって、ファンとともに成長したアーティストの音楽の説得力を改めて確認できる。10年間、彼女たちを支えてきたのは音楽とライヴに対する愛情だ。

竹江覺